不妊治療を考える 不育症(同種免疫異常)
女性のからだにとって、受精卵は自分と異なる遺伝子をもった異物です。
通常、からだは体内に入った異物に対しては拒絶反応を起こし、それを排除しようとします。
しかし、妊娠時には「免疫寛容」という反応が働くため、受精卵や胎児を拒絶することは
ありません。
ところが、免疫寛容の働きがうまくいかないことがあり、それが流産の原因となってしまう
場合があります。
これを同種免疫異常といい、血液検査で夫婦ふたりのリンパ球の相性などで診断されます。
以前の治療では、正常な免疫応答を起こすことを狙いとした「夫リンパ球輸注治療」が
主流でしたが、近年はこの治療の有効性や副作用が問題視されて、実地する医療機関は
ほとんどありません。
現在の治療には、ピシバニールという薬液を注射する治療法がもありますが、現段階で
その有効性はまだ十分に証明されていません。
タクロリムスなどの免疫抑制剤や大量のガンマグロブリン療法、ステロイド療法といった
他の免疫関連治療と組み合わせて行われることもあります。