不妊治療を考える 不妊症とは
高度生殖医療について詳しくみていく前に、最初に立ち返り「不妊症の定義と現在の実態」を
認識しておきましょう。
生殖年齢にある男女が避妊をせずに、一定期間性生活を送っているのにも関わらず、妊娠の成立を
みない場合を不妊症と呼び、日本でのその期間は1年と定義しております。
普通、健康な夫婦であれば、避妊をしない限り1年以内に80%、2年以内に90%は妊娠すると
いわれています。
江戸時代には、儒学者の貝原益軒の著書に基づく「女大学」の「七去の教え」から「嫁して三年、
子なきは去る」などという言葉が流布しました。
当時にあっては結婚すれば、3年くらいで妊娠すると安易に考えていたのでしょうか。
江戸時代のような男尊女卑の封建社会では、子どもに恵まれないのは女性の責任とされて、家督を
守るためにこのような言葉が語られたのでしょう。
ひどく腹立たしく悲しい言葉ですが、昭和や平成の時代に至っても耳にすることがありました。
逆をかえせば、夫婦の性生活や不妊の悩みなどがタブー視され続けた時代が長く、触れてはいけない
ことのように扱われてきたからではないでしょうか。
しかし、医学が進歩し、男女平等の社会になってくると、男性も積極的に診察を受けるようになり、
不妊症の原因が次第に明らかにされ、原因の半数近くが男性にあることがわかってきたのです。
高度生殖医療に関しても同様で、最初の頃に体外受精で生まれた子が「試験管ベビー」と呼ばれた
時代もありました。
不妊症から高度生殖医療に至るまで、多く真実を発信していくことで、多くのご夫婦が不妊治療を
乗り越えてくださることを願っています。