不妊治療を考える 人工授精(配偶者間AIH)
人工授精とはあらかじめ精液を採取して、女性の体内に注入する治療法です。
セックスでは精液は膣内に放出されるので、精子は子宮を通り卵子の待つ卵管まで進みますが
人工授精では、精子を子宮の奥深くまで専用の注射器で送り込みます。
そのため精子と卵子が出会う確率は、通常のセックスより高くなります。
「人工」という言葉に抵抗を感じる人も多いかもしれませんが、受精自体には人の手を介さない
ことから、妊娠そのものの成立は自然であり、からだへの負担が少ない治療法です。
人工授精は排卵日前後に行うことが肝心で、超音波検査や尿ホルモン検査で的確な排卵日を
予測したうえで実施されます。
当日、病院で男性に精液を自ら採取してもらうか、自宅で採取し二時間以内に病院へ持ち込むか
選ぶことができますが、病院で採取した方が新鮮な精液を使えるので、精子の状態が良くないと
診断された場合は病院での採取が望ましいでしょう。
採取した精液はそのまま用いるか、遠心分離機にかけて洗浄・濃縮してから使用します。
後者の方法を「洗浄・濃縮人工授精」といい、元気な精子を選んで注入するため、妊娠率はより
高くなります。細菌感染や炎症などの副作用を避けるため、現在ではこの方法が主流になっています。
尚、子宮内に注入する際に痛みを感じることはほとんどありません。処置後、すぐに帰宅できます。
感染症を防ぐために、抗生物質が処方されることもあります。