不妊治療を考える 体外受精・顕微授精 ①
タイミング療法、薬による治療、人工授精などの一般不妊治療を続けても、効果が見られない場合、
高度生殖医療である体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)が検討されます。
体外受精と顕微授精は、受精の方法が異なるだけで、その他の過程では基本的に同じです。
体外受精は卵子と精子を一度体外に取り出して受精させ、分割を進めて子宮内に移植する方法です。
1978年に初めてイギリスで成功して以来、めざましい進歩を遂げ、日本で体外受精で生まれた子どもの
数は7万7206人(2022年統計)総出生数の10人に1人は体外受精によるものという計算になります。
体外受精では卵巣から卵子を採取して受精させて子宮にもどすので、両側の卵管が完全に閉塞している、
卵管が癒着しているなど、卵管機能にトラブルのある人には特に有効な治療法です。
そのため、重い卵管障害があって一般不妊治療では妊娠が望めないことがわかっている場合、はじめから
体外受精を勧められることもあります。
また、抗精子抗体や原因不明不妊、女性の年齢が高い場合にも適しています。
男性では、無精子症をはじめ、重度の乏精子症や精子無力症など、精子の状態が良くない場合にも有効です。
妊娠の可能性を広げてくれる高度生殖医療ですが、卵子が採取できない、精巣や精巣上体に精子が一つも
見つからないといった場合は、残念ながら治療の対象外となります。