不妊治療を考える 体外受精・顕微授精 ④

体外受精では質の良い胚が育つこともありますが、移植するのは通常1個です。

残った胚は凍結保存して、再び移植を試みるときに解凍して使います。

胚の数を制限するのは、双子以上の胎児を妊娠する多胎妊娠のリスクを避けるため、また体外受精では

数多くの胚を子宮に戻した方が妊娠率が高まると思いがちですが、必ずしもそうとは限りません。

ちなみに妊娠できそうな質の良い胚が育つ数は、個人差や年齢、治療法によって異なるものの、一回の

媒精で平均2~3個ほどといわれています。

妊娠できそうな胚がたくさん育った場合、移植しなかった胚は凍結して保存することができます。

これを凍結保存といい、凍結した胚は凍結胚といいます。

凍結保存のメリットはいくつかありますが、例えば子宮に戻した胚が着床せず妊娠が成立しなかった場合、

次は胚移植からスタートできるということです。

また良質な胚は育ったものの、子宮内膜の状態が良くないなどの理由で、胚移植を先送りしなくてはならない

場合はいったん移植を中断して、母体側の治療を優先することもできます。

さらに、凍結胚は第二子を希望したときにも有効です。

女性の卵巣は加齢とともに衰えるので、数年前の若いときに保存していた胚がありば、それだけ妊娠率も高まる

可能性があるからです。

尚、精子を凍結しておいて用いることもできますし、現在は妊娠の望んではいない女性が将来のために若いうちの

卵子を凍結しておくという選択肢も昨今では推奨されています。