不妊治療を考える 卵管障害(治療法)

卵管炎の後遺症で卵管が狭くなっている場合は、抗菌薬などによる飲み薬の治療や、膣から

生理食塩水や炭酸ガスなどを注入して、卵管を広げる通水・通気治療という処置をします。

片方の卵管に詰りが残っていても、もう片方が開通している場合は、自然妊娠が期待できる

こともあるので、タイミング療法で様子をみます。

このとき妊娠の可能性を高めるため、排卵誘発剤を用いることもあります。

両方の卵管が完全に詰まっていたり、卵管留水腫で両方の卵管采が塞がっていたりする場合は、

残念ながら自然妊娠は望めません。

卵管形成術などで詰りを取るか、体外受精を検討することになります。

卵管形成術とは、卵管の詰りを解消するための外科的手術です。内視鏡を利用して膣から器具を

挿入して行う方法と、開腹手術や腹腔鏡手術を行う方法があります。

内視鏡を利用した手術では、内視鏡を内蔵したカテーテルを膣から挿入して卵管の入り口まで

進みます。そこでカテーテルの先からバルーンを膨らませ、卵管の中をさらに進んで卵管内部を

広げていきます。

開腹手術や腹腔鏡手術の場合、卵管の詰りのある部分を切除し、切り口を縫合してつなぎます。

卵管采が塞がっている場合にも、閉じた卵管の先を切開し人工的に卵管采をつくることができます。

ただし、卵管形成術を行ったからといってすぐに妊娠できるとは限りません。

年齢が高い場合は、手術はせず体外受精にすすむことをお勧めします。

子宮内膜症が原因で卵管障害が起きている場合は、子宮内膜症の重症度にもよりますが、子宮内膜症の

治療を先に行うことがあります。

ただし、子宮内膜症自体は完治する病気ではないため、治療にも時間がかかるので、年齢が高い場合や

病気の程度によっては体外受精を選択することをお勧めします。